渡瀬は東映の若手時代「狂犬」の異名で知られていた。どこかふてくされ、目をギラつかせて牙を剥き出しにする――そんな役柄が多かったというのもある。が、それ以上に「狂犬」ぶりを見せつけたのは、出演作で繰り広げられてきた「身体を張った命知らずのアクション」の数々である。
しかし、その「狂犬」には別の顔があった。
幼少期からガキ大将だった渡瀬は、友だちをいじめた相手には「何やってるんや」と向かっていく兄貴肌だった。俳優になってからも、その姿勢は変わらなかった。
1981年、映画『セーラー服と機関銃』の撮影中、共演の薬師丸ひろ子が機関銃を撃つシーンでガラス瓶が破裂し、顔に裂傷を負った。監督がカットをかけない中、真っ先に「大変だ!」と叫んだのは渡瀬だった。撮影後、スタッフに激怒し「自分の娘だったらどうする!」と怒鳴ったという。
ドラマ『警視庁捜査一課9係』では、「一人でも欠けたら、この作品は終わりにする」と宣言。スタッフ全員を家族のように守った。クランクアップで共演者が名残惜しんでいると「はよせえ」と叱ったが、その理由は「スタッフさんはこの後、セット替えもある、衣装のアイロンがけとかたくさん、やることはあるんだ」――裏方への気配りだった。
「狂犬」と呼ばれた男は、弱い者を決していじめなかった。その牙は、いつも弱き者を守るために剥き出しにされたのである。
【参考資料】
・文春オンライン「身体を張るから面白い!若き『狂犬』渡瀬の心意気」
・Wikipedia「渡瀬恒彦」
・Wikipedia「セーラー服と機関銃 (映画)」
・デイリー新潮「芸能界でケンカが一番強い男は誰か?」
・現代ビジネス「元祖『セーラー服と機関銃』薬師丸ひろ子の『カ・イ・カ・ン』を語ろう」
・東スポWEB「小沢仁志が明かす渡瀬恒彦さん最強伝説」
・NEWSポストセブン「芸能界最強説の渡瀬恒彦『怒らせちゃダメ』と安岡力也も恐怖」
#渡瀬恒彦 #昭和スター #昭和の名優 kawartha dairy tragically hip ice cream airline joanna gaines
